コマルテ

昨日やらかしたマルテは仔犬を飼っていたのじゃないかと思うのです。たぶんチワワの仔犬です。白です。

慣れない日本でケガでの二軍暮らし。練習を終えて暗い部屋に戻ると留守番していた仔犬がじゃれついてくるのです。
なかなか一軍に上がれなくてちょっとイラついていたマルテは屈託なくじゃれついてくる仔犬に癒されるのです。まるで実の子供以上になつきまくってる犬の名前は多分「小マルテ」です、コマルテ。


そんなコマルテは飛び跳ねるようにマルテに駆け寄ってきます。かがんで抱き上げようとしてもするりとマルテの手をすり抜けるのです。マルテの背中に飛びついて後ろに駆け抜けるんです。マルテもびっくり。


やがて日頃の練習が報われマルテが一軍に復帰する時がやってきました。
しかし時を同じくして、あんなに元気だったコマルテは突然の病で亡くなってしまったのです。

涙を堪えて東京ドームでファーストを守るマルテ。天国のコマルテにこの勇姿を見せるんだ、と固く誓って臨んだゲーム……

ファーストにゴロが飛んできます。
白いボールが跳ねるさまはまるでコマルテではありませんか。マルテの目は涙で溢れもはやボールなど見えません。白球はコマルテのようにするりとマルテの手をくぐり抜けたのです。

しまった!いけない、
とマルテが我に帰った時にはボールがグラウンドに転がっていました。あ!と慌てて拾います。しかしボールはコマルテに似ている…。
そういえばコマルテはオレの背中に飛びついてこんなふうに跳ねたっけ、とボールを背面からトスしてしまったのです。


このままじゃいけない


マルテはコマルテへの想いを星に帰すべく、万感の思いをこめてホームランにしたのであった…


………


とかだったら10000万歩譲って僕は許すかもしれないけれど、西は決して許してくれない。



やっぱり僕も許さない